名倉誠人プロフィール

        “ずば抜けたマリンバ奏者 “

            —フィラデルフィア・インクワイヤラー紙

©Tahara Yukiko

  名倉誠人は、彼の世代を代表するソロ・マリンバ奏者として、三十年を超えて国際的な活動を繰り広げている。「我々の時代の音楽」を常に追求する彼の姿勢に応え、各国の作曲家達から、多くの作品が捧げられ、それらの作品を中心に、自身の編曲によるクラシック作品も交えた独創的なプログラムは、この楽器の全く新しい地平を切り拓くものとして、世界各地の聴衆から驚きと賞賛を獲得している。

 1994年、権威あるヤング・コンサート・アーティスツ国際オーディション(ニューヨーク)に、マリンバ奏者として史上初めて優勝して以来、全米41州における彼の演奏は、常に熱狂的なスタンディング・オヴェイションで応えられている。ニューヨークのカーネギー・ワイル・ホールやワシントンのケネディー・センターを始め、全米で多くのリサイタルを行う一方、ニューヨーク室内交響楽団、シカゴ・シンフォニエッタ、カリフォルニア交響楽団等、各地のオーケストラとマリンバ協奏曲を演奏。モントリオール室内管弦楽団とは、ベンジャミン・ボイル作曲の「マリンバ協奏曲」を世界初演した。室内楽におけるマリンバの可能性も開拓し、リンカーン・センター室内楽協会や全米各地の室内楽音楽祭での演奏をはじめ、様々な楽器のソロイストと頻繁に共演をしている。

 彼の演奏活動は、CBSテレビの「サンデー・モーニング」の中でフィーチャーされ、全米に放送された。「信じられないほどの才能。その驚くべき色彩感とニュアンスの広がりは、名倉を特別な存在としている。」(ロサンジェルス・タイムズ紙)等、各紙から絶賛されている。

  英国、フランス、イタリア、ドイツ、チェコ共和国、韓国、香港、ベトナム、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチンなど、世界各地15カ国においても、多くのソロ活動を行ってきている。近年では、ベルリン・フィルハーモニー・ホールで行った、真島俊夫作曲マリンバ協奏曲の欧州初演や、パリでのリサイタル、そして英国BBCラジオで生放送されたマリンバと混声合唱のための「森の三章」など、好評を博している。

  日本においては、1990年に日本演奏連盟賞を受け、関西フィルとのコンチェルトで、ソロイストとしてデビュー、その後、東京文化会館をはじめ、全国各地で多くのリサイタルを行っている。サントリーホール、神戸新聞松方ホールなどで、全委嘱作品によるリサイタルを多数開催。オーケストラや吹奏楽との協奏曲演奏も数多い。神戸市出身。打楽器合奏団パーカッショングループ72のメンバー。日本マリンバ協会・特別会員。

  全委嘱作品によるリサイタル」で、文化庁芸術祭新人賞を受賞、また、米国BMI財団よりマリンバ作品委嘱プロジェクトを任されるなど、現代の音楽のアドヴォケートという姿が明らかになっている。ほかにも、第一回Kobe Art Award 大賞、第一回松方ホール音楽賞大賞、青山音楽賞バロックザール賞、神戸灘ライオンズクラブ音楽賞、神戸文化支援基金より「こぶし志縁賞」を受賞。英国王立音楽院より、卓抜した音楽活動を行う音楽院出身者のみに与えられる栄誉、ARAMも受けている。武蔵野音楽大学・同大学院、英国王立音楽院で学んだ。

 教育活動にも情熱を注ぎ、英国王立音楽院、イーストマン音楽院、サンパウロ州立大学、ソウル国立大学、香港演藝學院など世界各地の大学をはじめ、全米の約70校の大学で、マスタークラスを行ってきた。また、日米の小・中・高等学校を訪れ、これまでに数十万人の子供達のために演奏してきている。京都市立芸術大学では六年間教鞭を取ったほか、国内の音楽大学でもマスタークラスを行っている。

  他分野の芸術との共演も数多い。アメリカン・バレー・シアターのバレエ『Marimba』の独奏マリンバ(ニューヨークのシティー・センターで共演)、小泉八雲の「青柳ものがたり」を映像投影と音楽で綴る企画(日本各地及びニューヨークで上演)、チリの詩人ネルーダの作品朗読と共演する「海の呼びかけ」(NHKテレビによって全国放映)、「美術と音楽の出会う場所」と題する演奏会(兵庫県立美術館)、合唱とマリンバの為に三カ国の作曲家に委嘱した「森の三章」(日米英で上演)、朗読を交えた「枕草子プロジェクト」、ワインと音楽の融合した演奏会「バッカスの森」を創出。積極的なコラボレーション活動を繰り広げている。

  2001年に、ISGM新曲委嘱基金を創設。独奏曲・協奏曲・室内楽曲を網羅する、マリンバのための作品を、世界各地の作曲家に委嘱し、優れた音楽財産を数多く次世代に残す活動を続けている。

  CDは、全委嘱・世界初録音作品を収録した、「リチュアル・プロトコール」、「トリプル・ジャンプ」、「田辺恒弥マリンバ作品集」、「森と木の音楽」と、名倉自身の編曲による作品を収録した、「バッハ・ビート」、「バッハ・ビートII」、「涙と祈り」(日本プロ音楽録音賞を受賞)に加え、最新アルバム「バッハ・パラレルズ」をリリースし、絶賛を受けている。また、自作曲「エレジー」や編曲作品集三巻が、風の音ミュージックパブリッシングより出版されている。 

 現在、日本で唯一のクラシック音楽専門ラジオ局OTTAVAで、自身の番組「My Favorite New York」を担当している。