
名倉誠人は、他分野の芸術と共演する独自の企画を考案・プロデュースしてきました。
「枕草子」プロジェクト
—古き日本の四季:ヴァイブラフォーン・フルートと朗読のための
作曲:デイヴィッド・ショーバー (1974年 米国生)
「春はあけぼの…」で始まる清少納言の「枕草子」の冒頭文は、我々日本人の誰もを、平安の都へと即座にいざなってくれます。この作品では、ヴァイブラフォーンとフルートの透明な音色で精妙な音楽が織り成され、京の四季が、春・夏・秋・冬の四つの楽章で表現されていきます。
清少納言の世界が、アメリカ人作曲家の心情といかに一体化し、そして、この音楽の作曲へと至ったか――その道標となるのは、日本語と英語による朗読です。日本の古典文学が海外の芸術家のインスピレーションとなって、我々はその作品を新たな面から見つめることができる、という一例が、このプロジェクトです。
「森の三章」プロジェクト
—マリンバと合唱のための
「森の三章」は、マリンバと混声合唱のために書かれた三曲です。名倉は、デイビッド・ブルース(英国)、内藤明美、ジェイコブ・バンクス(米国)の三人に、この作品を委嘱、それぞれが、それぞれの国の、森や木に関するテキストを使って作曲してくれるよう依頼しました。ブルース氏は自作の詩、内藤氏は西行の和歌、そしてバンクス氏は、ホイットマンの詩を選びました。
デイヴィッド・ブルース (b.1970) : Songs in Wood (全四楽章)
内藤明美 (b.1956) : 西行による5つの和歌
ジェイコブ・バンクス (b.1982) : おお、私を惹きつけてやまない南部よ
「青柳ものがたり」プロジェクト
—マリンバと映像のための
原作: ラフカディオ・ハーン 発案: 名倉誠人
脚本: 名倉誠人 音楽: 内藤明美 写真: 初谷恵美 コンピューター・グラフィックス: 宇井孝
ラフカディオ・ハーンの「怪談」の中の一話、「青柳ものがたり」を、マリンバの音楽と映像によって表現します。音楽は、内藤明美作曲のマリンバ独奏曲「森の記憶」、そして、長野県白馬の森林写真に字幕を重ね、音楽と映像で物語を描いていきます。
吹雪の夜、旅路を閉ざされた若き侍、友忠。一夜の宿を求めた家で出会ったのは、美しい娘、青柳。二人はあっという間に恋に落ちます。純粋で無垢な二人の愛は、和歌や漢詩によって彩られ、現代に失われたかのような、古き日本の美しさを繰り広げていきます。しかし、ある朝、青柳に急な死が訪れ、その口から秘密が明かされます。