名倉誠人
マリンバ奏者
“人は、名倉の芸術性が彼の楽器の能力を超越してしまったと言うかもしれない。そうではなくて、彼は、マリンバをもってして、それを、最もユニークな表現を可能にする、並外れた楽器へと変容させた、と言うべきなのだ。”
— サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙(香港)
ソロ・マリンバ奏者名倉誠人は、四半世紀にわたり、世界15の国々で国際的な活躍を繰り広げてきた。特に米国では、カーネギー・ワイル・ホールやケネディー・センター等でのリサイタル活動に加え、NY室内管弦楽団、ロサンゼルス室内管弦楽団等、多くのオーケストラとも協奏曲を共演し、その活動は全米41州にわたっている。近年は、ヨーロッパでの活動も多い。ベルリン・フィルハーモニー・ホールでの、真島俊夫作曲マリンバ協奏曲「大樹の歌」の欧州初演や、パリや英国でのリサイタルなど、各地で好評を博している。
日本でも、東京文化会館、サントリーホール、神戸新聞松方ホールなど各地のホールでリサイタルを開催、また、オーケストラや吹奏楽との協奏曲共演など、全国で演奏活動を繰り広げている。打楽器合奏団・パーカッショングループ72のメンバー。日本マリンバ協会・特別会員。
また、ダンス、朗読、映像など、他分野の芸術とのコラボレーションも数多くプロデュースし、マリンバの新しい地平を切り拓いてきた。際立った表現力と、色彩感に富む彼の演奏は、「マリンバを、ストラディヴァリウスにしてしまう」という高い評価を受けている。
2001年には、ISGM新曲委嘱基金を創設し、マリンバのための新作を世界各地の作曲家に委嘱。その委嘱作品は、独奏曲、協奏曲、室内楽曲にとどまらず、他分野の芸術とコラボ―レーションする作品にも及び、優れた音楽財産を、数多く次世代に残す活動も行っている。
1994年、権威あるYCA国際オーディション(ニューヨーク)に、マリンバ奏者として初めて優勝して以来、文化庁芸術祭新人賞、第一回松方ホール音楽賞大賞、青山音楽賞バロックザール賞、神戸灘ライオンズクラブ音楽賞、第一回Kobe Art Award大賞、そして、昨年は、神戸文化支援基金より「こぶし志縁賞」を受賞。英国王立音楽院からは、栄誉、ARAMも受けている。英国王立音楽院、武蔵野音楽大学・同大学院で学ぶ。神戸市出身。ニューヨークに在住。
教育活動にも情熱を注ぎ、世界各地の大学をはじめ、全米70校の大学で、マスタークラスを行うほか、小・中・高等学校を訪れ、多くの子供達のために演奏してきている。京都市立芸術大学では六年間にわたり教鞭を執った。
委嘱作品を収録した四枚のCD(「リチュアル・プロトコール」、「トリプル・ジャンプ」、「森と木の音楽」、「田辺恒弥マリンバ作品集」)と、全作バッハ作品の二枚のCD(「Bach Beat」、「Bach Beat II」)、日本プロ音楽録音賞を受賞したCD「涙と祈り」に加え、最新アルバム「バッハ・パラレルズ」がリリースされている。また、自作曲「エレジー」や編曲作品集三巻が、風の音ミュージックパブリッシングより出版されている。
現在、日本で唯一のクラシック音楽専門ラジオ局OTTAVAで、自身の番組「My Favorite New York」を担当している。2024年には、演奏会シリーズ「名倉誠人60」を、ロンドン、ニューヨーク、そして日本各地で開催。それぞれの演奏会で、名倉がその演奏活動で追求してきた異なったテーマに、焦点を当てるものとなった。東京公演の全容は、NHK-FMの「ベスト オブ クラシック」で全国に放送された。